第202章

「気に入った?」

 ゆっくりと薔薇の花が下ろされ、その向こうから望月安の顔が現れる。

 前田南は頷くと、その花束をさっと受け取った。

「すごくいい香り! とっても気に入ったわ!」

「それならよかった。君の部屋の窓辺に、ちょうどこの薔薇が足りないと思ってね。花瓶を探して生けてあげようか?」と望月安が提案する。

 前田南はすぐさまドアを開け、彼を招き入れた。

 望月安は奇妙に思いながらも、大股で中へ入っていく。花瓶を見つけ、その花束を生けると、窓辺に置いた。

 花びらは思うままに広がり、まさに満開だった。

「お腹は空いてる? 朝食を食べに行こう。ここのレストランに、すごくおいしい...

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